研究概要 |
虐待経験を持ち,注意欠陥・多動性障害(AD/HD)やアスペルガー障害などの発達障害を抱えた年少非行少年に対する治療的働き掛けを担っている児童相談所及び児童自立支援施設において家族支援プログラムが運営されるための準備作業として,福島県中央児童相談所及び福島県福島学園の参加を得て「家族支援に係る事例検討会」を開催した。参加者に対して研究代表者が,事例に則した実践的な家族支援の技術を指導した。来年度は,研究代表者が定期的にスーパービジョンを実施し,家族支援プログラムが継続的に運営されるよう働き掛けていく予定である。 また,非行性の進んだ少年を収容する少年院からの仮退院者へのアフターケアを担当する保護観察所において,グループワークを活用した家族に対する心理教育的プログラムである「家族教室」を運営するスタッフ養成のために,福島観察所において平成16年10月から研究指導者がファシリテーターとなって毎月1回試行し,その処遇場面をビデオカメラで記録している。来年度はその効果を測定するために,ビデオ記録の分析を行うとともに参加者へのアンケート調査を予定である。 さらに,先進事例について,その具体的な取組みを調査することを目的にアメリカ・カリフォルニア州のサンフランシスコ市を中心とした家庭裁判所,保護観察所,少年矯正施設などを訪れ,特に児童思春期精神医療との連携に関わるスタッフと面談し,関連資料及び情報の収集を行った。 このような研究成果については,平成16年11月の「日本精神衛生学会20周年記念大会」及び平成17年3月の「第2回子どものメンタルヘルス関連合同医学会」の各シンポジウムにおいて発表したほか,後記のような研究論文として公表した。
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