研究概要 |
平成18年3月にアメリカ・ニューヨーク州における保護観察を中心とした非行臨床機関の実地調査を実施し,性犯罪者,薬物依存者等処遇困難者の社会内処遇に関する調査で収集した資料の分析を行い,同年5月に開催された「福島非行臨床研究会」で発表した。 非行性の進んだ少年を収容する少年院からの仮退院者へのアフターケアを担当する保護観察所において,グループワークを活用した家族に対する心理教育的プログラムである「家族教室」を継続実施し,その処遇効果をビデオカメラで記録して分析した。また,保護観察において家族援助を担う保護司向けの研修誌である『更生保護』平成19年4月号に「保護観察の技法」を寄稿し,研究成果を報告した。 保護観察所については,平成17年7月から施行されている「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」の実施機関のひとつであり,精神保健福祉を専門とするスタッフが新たに採用され,本法律が対象とする成人触法精神障害者にとどまることなく,精神障害・発達障害のある非行少年への対応についても大きな変化が期待されることから,その実施態勢について実地調査及び関連学会等で資料を収集した。 このような研究成果を基に,平成19年3月の「日本発達心理学会第18回大会」で指定討論者を務めたほか,後記のような研究論文として公表した。さらに,本研究を契機として構築された非行臨床と児童思春期精神医療との連携システムは,平成19年9月1・2日に開催される「日本犯罪心理学会第45回大会」を研究代表者が大会委員長となって企画・運営することの礎石となるものである。
|