研究概要 |
自殺予防プログラムの開発を目的にして,1990年から2004年9月までの文献について,PsycINFOによって,"suicide prevention"をキーワードに1496件の文献研究を行った。自殺予防において,1次予防(prevention:予防),2次予防(intervention:介入),3次予防(postvention:事後介入)と位置づけ,学生,教職員,保護者を対象にした自殺予防プログラムの実践が効果的と考えられた。1次予防として,青年の自殺の実態や一般に流布している自殺に関する誤解を解き,現代の青年の多くが抱える問題や自殺の危険因子をエコロジカルな視点で明らかにする必要性があった。2次予防として,自殺の予防・介入を行うに当たって,適切な介入ができるようにリスクの程度を明らかにすることが重要であることと,学生がしばしば直面する問題毎にその解決のために可能な選択肢をいくつか提示し,問題解決のための糸口や見通しが少しでももてるような情報提供が効果的であることがわかった。3次予防として,未遂の場合,自殺企図者へさまざまなケアを提供し,再発予防を行うこと,完遂の場合,身近な人に与える衝撃は計り知れないので,その衝撃を緩和し,連鎖的に自殺が起こらないよう対策を講じるため,ディブリーフィンググリーフカウンセリングが効果的であることが明らかになった。高度情報化社会の利点から,インターネット(Webサイト)を介して,自殺予防に役立つような情報発信を行ったり,自殺を考える人が孤立せずに相談相手が見つかるような場の提供,そして実際にそのような支援者へアクセスできるよう促す働きかけが効果的であることが明らかになった。
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