今回の研究では、従来の個室での1対1で対話によるカウンセリングという方式だけでは援助困難な児童・青年を対象に「悩み方」「体験様式」と「コミュニティ心理学」の視点から「ネットワーク」と「居場所づくり」を活用した多面的援助アプローチについて、以下のような研究を行なった。「こころの居場所づくり」に役立てようと、心理教育相談室や中学校や適応指導教室において面接室とは別に彼らが自由に出入りして過ごせる部屋を設けた。そして、この部屋を活用して、主として不登校を対象として、その援助のためには「こころの居場所づくり」にはどのような条件が必要か、どのような活動が児童・青年のどのような問題の心理的援助に役立つのか、不登校児にどのような効果を持ちうるか、そこではどのような効果と心理的過程が生じるのかを研究を行った。その結果、ネットワークと居場所づくりによる援助では子どもたちの「遊びの内容」と「遊び方」が変化していくこと、そしてそれは対人関係と遊び空間の拡がりという視点からみれば、一定の方向で変化していくことが明かになった。さらに、児童養護施設における多面的アプローチの基礎的研究を行った。その結果、施設においては児童間暴力が深刻であり、そのため入所児の安心・安全が確保されていないことがわかった。
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