学校教育場面で起こる児童生徒の問題行動の中心である対人攻撃行動や対人回避行動に関連する対人認知の特徴や対人関係におけるスキル等を把握するために、先行研究・資料を収集し、質問紙法調査のための調査項目の選定を行った。 主な調査内容は、(1)児童生徒の攻撃性を測定する尺度の改良(Buss-perry Aggression Questionnaireの中学生用改良版の検討)(2)ストレスコーピング尺度の作成(3)認知的共感性尺度の採用(1)周囲からの評価懸念尺度の作成(5)自我特性に深く関連すると考えられる執着性格と自己愛傾向を測定する尺度の作成 以上について、おおむね項目の選定を終え、年度内に予備調査を実施する運びとなっている。 また、教育技法の有効性の検討のために、首都圏の公立中学校において、生徒間の相互援助性を伸張させるためのピアサポートプログラムを企画し、特に対人関係スキルの育成を主眼としたグループワークを導入し、計3回実施した。ここでは、教育心理学や臨床心理学を学んでいる大学生をピアエヂュケーターとして参加させた。内容は、自己理解のためにエゴグラムを実施したうえで、情報を正しく伝える困難さと葛藤を経験するもの、グループの目的達成のために相互の発想や感じ方の違いを実感させるもの、日常的に起こる対人的なトラブルの場面を演じて、原因や解決法についてディスカッションさせるものなどである。このプログラムを体験することによって、それぞれの感じ方や発想に大きな違いがあることを生徒が確認できている。また、自主的にこのプログラムに参加する生徒が2回目以降に増加している。 なお、質問紙の予備調査結果は、平成17年度日本教育心理学会9月16日〜19日において発表予定である。
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