研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、中学生の攻撃性に影響する要因を明確にすることである理、特に、それに関連要因を認知的側面、感情的側面、経験的側面の3側面から浮き彫りにすることである。本研究の被験者は、質問紙調査では中学生約900名、また、対人スキルの向上を目指したピア・サポート・プログラムには約100名の中学生が参加した。質問紙調査では、攻撃性を測定する指標として、FAS(機能的攻撃性尺度)と反応的攻撃性尺度を用いた。特にキレル暴力行為と反応性攻撃性が強く関連していると予想された。関連要因としては、認知的側面では、認知的共感性(主に他者視点取得)、身体状況認識、認識の幅広さを取り上げ、感情的側面では、自尊感情と孤独感を取り上げ、経験的側面では、過去の不適応や逸脱行動を取り上げた。調査結果では、反応的攻撃性と他者視点取得、自尊感情、不適応・逸脱行動とが明確に関与していた。また、女子では、反応的攻撃性と身体状況認識および孤独感とが関連していた。本研究では、心理的な介入方法だけでなく身体的なアプローチや方法も反応的攻撃性を抑制するために必要であることが示唆された。さらに、反応的攻撃性の高い生徒の背景には、低い自尊:感情と孤独感があることが認められた。こうした結果に基づいて、中学生のピア・サポート・プログラムでは身体活動を用いたグループワークを実施した。年間3回のプログラムに約100名の中学生が参加し、多くの生徒が、より快適な対人的スキルが身についたと感じられることを報告している。
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