研究概要 |
東山篤規:身体を正立させたときと屈曲させたとき(股のぞき)における,対象の大きさと対象までの距離の知覚を比較した.またプリズム眼鏡をかけて正立観察したときと,股のぞき観察したときの比較も行った.身体を屈曲させたときに大きさの恒常性が著しく崩れ,距離の縮小視も生じた. 古賀一男:成人と乳幼児を用いて眼球運動の研究を行った.前者では眼球運動と運動知覚の関係を,主として眼球運動を精密に測定することで研究を進めている.後者の研究では,non-transactionalな眼球運動の測定を確立したうえで、高次脳機能の発達の研究を進めた. 下野孝一:単眼刺激が両眼刺激の奥行き面に捕捉されるとする奥行き捕捉仮説の検証実験を行った.実験では,観察者に頭部運動をさせながら静止した両眼刺激と単眼刺激を観察させ,両刺激の奥行きと運動量の報告を得た.その結果,両刺激は頭部運動量に依存して運動したが,単眼刺激の運動量は両眼刺激のそれによりも小さく,単眼刺激の奥行きは両眼刺激のそれよりも小さかった. 尾田政臣:顔写真の撮影方向(正面,斜め前方向など)と顔記憶の関係に関する実験を継続している. 北岡明佳:方位錯視の一種であるカフェウォール錯視の現象レベルでの基本原理を見出した.この原理から,カフェウォール錯視に類似した「新型」の方位錯視の量産を行なうことができた.このほか,カフェウォール錯視とその他の方位錯視たとえばツェルナー錯視の関係についてのレビューを行うとともに,方位錯視の図形の中に,静止画が動いて見える錯視が多く含まれることを示した.
|