研究課題
基盤研究(C)
共感的行動は生まれ持った生物学的基盤があるとされている。また発達心理学者は、共感的行動が学習されたものではなく、生得的なものとさえ述べている。そこで今回の研究では、まず幼稚園児を対象として、親と幼稚園教諭から子どもの共感性に関して報告させるとともに、(生物学的な)親自身の共感性をも評定する。第二番目の目的は、そのような子ども自身の共感的行動について、縦断的研究を使用して共感的行動が変化するのかが検討された。2つのグループから構成される幼稚園児とその親が今回の研究の対象者である。第一のグループは(コフォート1=男児27名・女児22名)49名の幼稚園児で、今回の縦断的研究には彼らが3歳の時と4歳の時に参加する。第二のグループ(コフォート2=男児38名・女児23名)は61名で、同じく4歳の時と5歳の時に参加する。研究データは、親および幼稚園教諭からの質問紙による子どもの共感性報告と、親自身の共感性評定から得られた。加えて、上記の縦断的研究データとして、幼稚園における子どもの行動が観察され、I/Oサンプリング法を使用して、10分間の行動が分析された。その結果、幼稚園教諭と親は、園児の共感性に関しては、異なった見方をしていることが明らかになった。幼稚園教諭は3歳児に対して、4歳児より高い共感性得点を報告した。大人の共感性評定であるIRI(対人的反応性指標)を用いて、幼稚園という就学前(3歳-5歳)の発達過程にある幼稚園児の共感性との関連を検討すると、母親自身の共感性こそが、自分の子どもの共感性と関連していることが見受けられた。特に、母親自身の認知面ではなく情意面での共感性が、子どもが3歳という早い時期より、関連していることが明らかにされ、子どもの共感性の情意面は、生物学的・遺伝的な影響を受けている可能性が示唆された。
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日本発達心理学会第18回大会発表論文集
ページ: 691
Poster presented at the American Psychological Society 18th Annual Convention
ページ: Convention Program on 150
会員企画シンポジウム:企画者 澤田瑞也・竹内伸宜)日本発達心理学会第16回大会発表論文集
ページ: 413
Poster presented at the American Psychological Society 17th Annual Convention
ページ: Convention Program on 178
Poster presented at the American Psychological Association 113th Annual Convention
ページ: Convention Program on 18