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本研究は、フランス革命後期、総裁政府期(1795〜1799年)について、フランス国立古文書館所蔵「内務省公教育手稿史料」の分析をもとに、革命開始後初めて全国的規模で本格化した公教育組織作業の全容を解明し、理論と実態の両面から革命期の公教育を捉え直すことを目的とするものである。刊行史料の存在しない総裁政府期の公教育の実態を解明するため、未刊行史料の収集・分析を重視し、平成18年度は、フランス国立古文書館所蔵「内務省公教育手稿史料」について、平成16年度・17年度に収集した史料の分析をもとに、新たに生じた疑問点などを解明すべく、史料の補足調査・収集を行った。また、総裁政府期公教育組織過程での「五百人会」(総裁政府期の議会)の動向を解明するため、平成17年度に着手した「五百人会」の史料調査をふまえ、平成18年度は、フランス国立古文書館所蔵の手書きの「五百人会」議事録を調査するなど、議事史料の収集につとめた。さらに、総裁政府期公教育組織過程における「地方」の動向を明らかにするため、フランス国立古文書館所蔵「公教育手稿史料」の「県」(デパルトマン)単位の文書類の読解をすすめた。未刊行史料のデータベース化と分析の結果、以下の成果をおさめることができた。すなわち、これまでフランス国立古文書館所蔵の総裁政府期の公教育関係の史料は、未整理の状態のため全容が把握されていなかったが、本研究により、時代順・地域別・公教育組織段階別に体系化して理解することが可能となった。さらに、総裁政府期の公教育組織過程においては、公教育に主体的に取り組んでいた地方と、中央の側が積極的に介入する形で公教育が施行された地方が存在し、両者の公教育の施行状況には内実に大きな違いが存在したことを解明した。こうした未刊行史料の体系的・総合的把握にもとづく総裁政府期の公教育組織過程についての研究をまとめ、成果の一部は論文として刊行した。
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