1.1930-50年代の社会過程と教育の把握をめぐる認識論と方法論の検討を主として行った。仮説的な枠組みを雑誌に投稿した。 2.資料整理として、東京工業大学名誉教授故清原道寿家所蔵の戦前-戦後の技術教育・職業指導関係諸資料の整理に当たった。同時に一橋大学名誉教授中内敏夫氏より寄贈が予定されている教育社会史関係を中心とした諸資料の整理を行った。 3.30-60年代にかけて広く教育実践運動の検討を2.に加え新しく入手した資料も含めて大学院生など若手の研究者を組織して実施し始めた。資料分析と合わせて聞き書き調査を実施した。 4.都市部の若年労働の調査資料について調査を進めてきたが、その内在的な分析を進めるためにさらに社会史的な資料の収集と聞き書きを進めた。技術者養成に関わる実際の検討を行った。 5.継続的な作業となっている教育学[pedagogy](様々なレベルでの教育に関する反省的な思考)の検討を、[1]講壇教育学の動向と[2]教育実践の現場ないし運動のレベル、さらに[3]教育学関連領域からの影響という観点で枠づけて行った。[1]では東京帝国大学を中心にアカデミズムの研究動向の調査と業績分析、[2]では郷土教育運動、綴方教育運動、教育科学運動に加え戦後の産業教育研究連盟なども含み教育運動の動向の検討、[3]では教育学と関連隣接領域の諸学問との相互規定関係の分析を労働科学や科学論さらに生活構造論など教育、教育学に影響を与えた諸領域の検討を深めた。それらを踏まえてこれまでの研究と合わせて著作にまとめるために役立てた。
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