第一に、少人数学級編制の実現プロセスにおける国-都道府県-市町村関係の変容と、少人数授業・少人数学級編制の実施方針と方法に関わる教育行政-学校関係の変容の実態を明らかにすることを目標に、愛知県内の3市町の教育委員会と小中学校を訪問し聞き取り調査を実施し、少人数授業の実態を観察し、少人数授業・少人数学級編制の導入・実施過程における都道府県・市町村教育委員会の学校への働きかけと学校の自律的活動の実態を明らかにすることにした。また、埼玉、山形などで実施されている少人数授業の研究者と研究交流し知見を得た。 第二に、教育特区の実施状況を把握するための基礎作業として、教育特区の認定・実施状況に関する文献資料の収集と整理を進めた。これをもとに、次年度以降において現地調査を実施する。 第三に、義務教育国庫負担制度の改革問題に着目し、その動向を跡づけるとともに、それが実施された場合、地方分権的教育行政の推進にとってどのような影響をもたらすかを理論的に検討した。その成果はすでに雑誌論文として発表しているが、とりわけ地方自治体の独自予算による少人数学級実施にどのような影響をもたらすかに注目しつつ、今後も継続的に改革とその影響の動向を観察する。 第四に、地方自治法改正により公の施設管理制度として導入された指定管理者制度に着目し、公立の公民館・図書館・博物館などの社会教育機関への同制度の導入がもつ意味ともたらす可能性がある問題点を、地方自治制度と公教育制度の両側面から検討した。実際に同制度を公立社会教育機関に導入した事例はまだ少ないが、今後急激に増大する可能性があるため、今後の実態調査に備えて基礎的な検討を行った。
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