本研究は、小・中学校における「目標に準拠した評価」の理論を探究し、具体的な評価規準と評価方法を開発することを目的とし、下記の活動を行った。 (1)日本における教育評価研究と実践の蓄積に関する調査 日本における教育評価研究と実践に対して多角的な検討を行い、研究と実践の交流を図る上で必要となる基本概念(評価リテラシー)を整理した。 (2)諸外国における教育評価をめぐる動向に関する調査 諸外国(特にアメリカと中国)において開発されている評価規準や評価方法、及びスタンダード(課程標準)開発をめぐる動向に関して、文献調査と現地調査を行い、その実態と論点を明らかにした。 (3)学力調査の研究 教育課程実施状況調査、PISA、TIMSSの結果にもとづき日本の子どもたちの学力実態を分析するとともに、調査問題そのものの長短・課題などを明らかにした。 (4)日本の学校における評価規準.評価方法の開発 京都市立高倉小学校、寝屋川市立田井小学校、京都市立衣笠中学校などの協力校において、評価規準・評価方法の開発、授業の改善に関わるアクション・リサーチを進めた。これにより、評価を生かしたカリキュラム設計の方法論を洗練するとともに、各教科固有の思考力・表現力の長期的な発達を捉える「学力表」を提案した。 (5)研究成果のまとめ、発表 本研究の成果について、論文・著作において発表したほか、日本カリキュラム学会や日本教育方法学会の自由研究やシンポジウムでの報告、小・中学校教員向けの研修会などの機会を利用して普及に努めた。また、(3)の成果を中心に、中間報告書をまとめた。さらに、研究成果の全体について最終報告書を公刊した。
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