研究概要 |
我が国の公立小学校校長を対象としたコンピテンシーモデルを構築するための基礎作業として,イギリスの校長のコンピテンシーモデルを参考としながら,我が国の校長のコンピテンシーモデルの構築と活用をめぐる課題を理論的に検討した。 イギリスの校長のコンピテンシーモデルの代表的な事例として,コンサルタント会社であるヘイ・マクバー社が作成したモデルを取り上げ,そのモデルの特質,作成と活用について紹介した。当然のことながら,このモデルをそのまま我が国の校長に適用するのは妥当ではない。我が国に馴染みやすく腑に落ちるようなモデルを構築するためには考慮すべき事柄として以下の点を指摘した。 ・要素分解的なコンピテンシーのリストだけでなく,コンピテンシー獲得に至る学習プロセスに着目し,コンピテンシーが発揮される「状況や場面」に注目すべきであり,そのためにリストだけでなく「物語」の収集をすることが重要である。 ・コンピテンシーモデルの構築にあたっては「何のための,誰のための成果か」を問う必要がある。我が国の学校の場合,試験の点数など数値化できる「顕在的」な部分だけでなく,児童・生徒の基本的生活習慣の形成や社会性の発達,教師の力量形成,校風づくりなどの「潜在的な」部分もあわせて学校の成果ととらえるべきである。
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