研究概要 |
本年度は、わが国の校長のコンピテンシーモデルの構築をめざして、次の作業をおこなった。 1.コンピテンシー研究の理論的な整理・検討 コンピテンシーモデルの現在の主流である職業スタンダードアプローチと個人的資質アプローチは、要素還元(要素分解)主義という問題性をもつ。それを乗り越えるためのアプローチとして、認知的パースペクティブおよびその具体化したモデルであるスコットランドの校長職スタンダード(Standard for Headship in Scotland)に注目した。このスタンダード(モデル)は次の3つの視点から構成されており、本研究の目指すモデルもこれに基づくことにした。 (1)行為の背後にある専門的価値=「なぜ=Why」その行為をとったのか (2)行為のタイプ・性質=「何を(どのような機能を)=What」行ったのか (3)行為の際に用いられた能力=「どのようにして=How」機能をうまく果たしたのか 2.いわゆる優れた校長へのインタビュー(若干名) 学校づくりにおいて何を大切にしてきたかを中心にインタビューをおこなった。これらの校長に共通するのは、内発的動機づけを重視するY理論(D.マグレガー)に近いリーダーシップスタイルであること、等である。 3.広島県の公立小学校校長(約600名)へのアンケート調査 教育観,校長としてのありかた・姿勢、必要性を感じる知識、「優れた校長」の考え方や行動などに関して尋ねた。 4.上記3つの作業を統合することによって、わが国の公立小学校の校長を対象としたコンピテンシーモデル(案)を構築した。
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