研究課題
基盤研究(C)
1.本研究は、事例研究及びアンケート調査(「高等学校の自律的経営に関する全国調査」)に基づき、(1)高等学校の自律的学校経営がどのように展開されているか(定着度及び政策効果の検討)、(2)政策評価の実施状況及びその政策立案への活用状況等を総合的に分析することを目的としている。2.その結果、主に次のような知見が得られた。(1)都道府県教育長の約7割が教育事業の評価が客観的なデータに基づいて行われていること、同じく教育長の9割がその事業評価が次年度の政策に生かされていると認識している。(2)高等学校長の約4割が、教育課程の編成面で、学校の裁量権が拡大されたと実感している。(3)高等学校長の約7割が、学校評価が次年度の学校経営活動や教育活動の改善に役立ったと認識している。(4)高等学校長の約3割が、第三者機関による評価を期待している。(5)高等学校長の約1割のみが、新しい人事評価システムによる教員評価が効果を上げている認識している。(6)高等学校長の約7割が、中央教育審議会(平成10年)以降、教育委員会から教育活動の評価や実績を求められるようになったと認識している。(7)高等学校長の約6割近くが、中央教育審議会(平成10年)以降、学校課題に主体的に取り組めるようになったと評価している。(8)高等学校長の約6割が、中央教育審議会(平成10年)以降、明確なビジョンや目標をもって、学校経営に取り組めるようになったと評価している。(9)高等学校長の約7割が、学校評議員制度は学校改善を図る上で効果があったと認識している。(10)高等学校長の約1割のみが、学校の予算編成の面で、学校の裁量権が拡大したと認識している。以上の結果から、高等学校の自律的経営の政策は、概ね学校現場に浸透しつつあるものの、人事評価や学校予算編成の改革はまだ十分進んでいないことが理解できる。高等学校の自律的学校経営の推進を図るためには、学校予算編成と人事管理の面でもう一段の改革が求められている。今後は、高等学校の自律的経営が学校改善や特色ある学校づくりにどう繋がるのか、そのメカニズムを詳細に分析したり、教師や保護者等の立場から自律的経営の実態と効果がどう捉えられているかを検討する必要がある。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (4件)
広島大学大学院教育学研究科紀要 第三部(教育人間科学関連領域) 53号
ページ: 38-44
ページ: 31-37
Bulletin of the Graduate School of Education, Hiroshima University (Education and Human Science) part3(53)