研究課題
基盤研究(C)
本研究は、京都府北部の奥丹後地域を研究フィールドとして、戦後日本における教育自治の内実を追求し、そこに到達度評価がどうかかわったかを明らかにすることを課題とした。方法としては現地調査を重視して、もと学校教師や伝統産業の機業に従事していた方々への聞き書き調査を行なった。分析においては、地域社会が大きく変貌し、子どもや青年の進路をはじめとする生き方をも変化させた、1960年代の高度経済成長期に焦点をあてた。その結果、次が明らかになった。地域社会の形成過程に対する住民自身の積極的な関与が生じて教師と住民の協力関係が成立したとき、到達度評価は地域社会の様々な教育可能性を引きだすことができる。到達度評価は、父母住民が形成過程に対する自覚と責任を担うことで、学校と地域の双方によって、子どものよりよい発達を目指す教育自治が実現することを要求している、といえる。また、学校教師が教材づくり等を介して地域の伝統や現実にかかわることで教育が豊かになる。ただし、それには、教師の知識あるいは認識が生活とのつながりをも追求する柔軟さとともに、文化に対する探求的な視点をもつことが重要である。そうであればこそ、住民の子どもの発達に向ける積極的な願いを教育場面に集約することもできるといえよう。それはまた、高度経済成長期以後全国に広がった子どもの成長・発達における学校への依存と従属をとらえ直し、学校と地域社会がともに子どもの成長・発達を促す道を展望することを促す。
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作新学院大学紀要 第18号
ページ: 39-53
Culture and Science, 18th issue(Bulletin of SAKUSHIN GAKUIN UNIVERSITY)
教科外教育と到達度評価 第10号
ページ: 29-38
The Journal of Extracurricular Education and of Scholastic Attainment 10
ページ: 39-52