図像資料を用いて近代ヨーロッパの子育て習俗の社会史的変貌を明らかにしようとする本研究は、研究期間を3年に設計しており、その第1年度に当たる2004年度は、図像資料のサンプリング収集と図像資料のデジタル化を進めるために、おおよそ次の点を中心に研究活動を展開した。 (1)すでにこれまでの2つの科学研究費補助金による研究の過程で部分的に蒐集した図像資料に関して、時代区分、社会階層区分、領域区分、図像そのものの性格特性の分類を進めた。 (2)未収集の子育て習俗の図像資料、子ども観および親子関係に関する図像資料については海外の美術館を対象に、主として所蔵美術館の展示カタログ、絵はがき印刷資料、各種カタログなどを対象に予備調査を試みた。 (3)民俗資料館、版画資料館などの同様のカタログ、テーマ別版画集、パンフレット類、ガイドブックなどについても予備調査を進めた。 (4)イギリスにおける各種の絵画・版画・彫刻類のオークションのカタログの中から、子ども像、家族の肖像画、発達現象や子育て現象を図像に示しているものを中心に、資料収集を進めた。 以上の作業のため、試行調査として海外の美術館、民俗資料館に出かけて調査研究し、デジタル画像の取り込みデバイス、保存システムを構築して原資料の収集にかかる費用とスペースを削減し、保存方法および取り出し(再現)方法、分析方法を大幅に簡便にすることができる事を確認した。
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