研究課題
基盤研究(C)
本研究は、成人前期の女性たちのキャリア形成とその実現のための学習機会の提供をテーマとして取り組まれた。初年度は、日・英・蘭で計47名に対するインタビュー調査を実施した。対象となったオランダの女性たちはワークシェアリングの方針を支持し、明確なキャリアアップの方法を考えており、イギリスの女性たちは「家庭第一主義」を堅持しつつキャリア構築に対して楽観的であるのに対し、日本の女性たちは「漠然とした社会に対する不安」を持っているために将来展望がやや不明確であるという点が顕著な特徴として認められた。2年次の日本におけるアンケート調査(471名回答、平均年齢25、9歳)でも、女性たちの約87%が将来に対する「不安」を感じていることがわかった。中身としては、「経済的な困難」(54.0%)が傑出しており、「結婚」や「出産、子育て」ができない不安、「自分のやりたいことが見つからない」不安が続いた。未婚率上昇の理由については、「自分と同じ価値観を持つパートナーを見つけにくい」が最上位の理由として支持されており、これも「不安」をもたらしている原因の一つとして確認された。学習に対する希望は全般的に強く見られ、「資格や免許」の取得と並んで、「自分の本当にやりたいことを見つけるための学習」への希望が85%強あった。20歳代ではそれがまだ見つかっていないということを物語っている。以上より、女性たちの「不安」を軽減し、キャリア展望を実現できるようにするためは、経済的な自立を実現できるような政策が急務であり、資格やスキルにかかわる生涯学習の機会をさらに充実する必要性はもちろんのこと、「自分のやりたいことを見つける」というやや漠然とした希望にこたえられるような、総合的なキャリアガイダンスや学習機会を、いったん社会人としての生活経験を持った成人前期に改めて設定する必要性があることが明らかになった。
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女性展望 2006年5月
ページ: 1
雑誌青年(ザ・セイネン) 復刊3号(未定)
The Women's Perspective May 2006
The SEINEN No.3(Unpublished)
日本社会教育学会第52回研究大会発表要旨収録 2005年号
ページ: 76
The Proceedings of the 52nd General Conference of the Japan Society for the Study of Adult and Community Education