本研究では、障害児・者の学習文化活動を保障していくための課題と方向性を探っていくことを意図して、全国の先進事例や先行研究の調査とともに、全国の市町村自治体での取り組み状況についてのアンケート調査を実施した。そこでは、この間の生涯学習施策の進展に伴って、障害をもつ人の学習・文化保障の取り組みがどの程度進んでいるかを具体的に把握、分析する課題意識のもとに考察を行った。 まず先進事例としては、東京を中心に行われている障害者青年学級(教室)、障害をもつ人を対象とした講座および届けるという発想にもとついたアウトリーチサービスの取り組み、大学で行われているオープンカレッジ、社会教育施設での対応、などについての調査見学を行った。 また、全国調査の結果からは、まず学校週5日制対応の事業については、圧倒的に多くの市町村ではその対応がなされていない状況が明らかとなり、障害をもつ児童が地域で生き生きと学習文化事業に参加していく取り組みが求められていることを提起した。また、障害をもつ人が参加できるような配慮をしている事業を実施している自治体が回答した自治体総数の30%であり、依然として課題が大きいことがあらためて確認された。その意味で、教育を受ける権利を保障する責務を負う教育行政、とりわけ社会教育行政の役割と課題が浮き彫りにされたと同時に、とりわけスタッフやボランティアといった人的な面とプログラムなどのソフトの面からの学習支援のあり方を先進事例の取り組みから学んでいく必要性を強調した。 そうした点をふまえ、最後にまとめとして、以下の視点の重要性を提起した。 (1)学習権保障の視点 (2)ノーマライゼーションとポジティブアクションの視点 (3)社会教育施設・機関の役割
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