琵琶湖博物館が所有する全国の博物館の出版物および学会誌などの中から、博物館の学習活動にかかわる記事を取り出して、特徴を整理し、大きく時代区分をした中でどのように博物館の活動がされてきたのかを分析した。さらに、明治時代初期の日本の博物館の設立の時代に、博物館に期待された機能、および実態について考察を行った。 日本の博物館はもともと、学校教育を補完し、国民に対する教育と国民意識を統一させることを目的として設立された。しかしその意図とは裏腹に、規模が小さいことや博物館に対しての実際の認識の低さなどから、博物館は独自の機能を持って活動をするようになってきたと考えられる。すなわち博物館は目的を持った個人が、博物館の職員と共に活動をすることで自らの学びの場として活用することになり、いわゆるアマチュア主体の場となってきた。 しかしこの状態は自主的に博物館に来て、活動や学習をすることを希望する人だけを対象とした活動になってしまうことで、博物館の学習機能を狭めるものであった。さらに近年の学校と社会教育施設との連携の強化、あるいは生涯学習を求める声の拡大など、本来の博物館が対象として活動をすべき層が改めて浮き彫りになりつつある。 博物館は現在、まだ学習の目標や内容を決めていない大部分の人々と向き合うことが求められるようになって来た。利用者の学習分野や目標の強弱と、博物館利用の経験の差などによって区分しうるグループごとに、どのような学習支援や学習の場が必要かを博物館から提案して学習の場を作り上げていくことが、必要であり、そのための、大くくりするグループごとに対応するための専門家としての人材が必要であろう。
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