これまでのインドおよびタンザニアの事例分析に続き、本年度はバングラデシュの教育計画におけるNGOの機能の調査および分析を行った。まず、バングラデシュ最大のNGOであり、教育分野の事業を行っているBRACの活動に関し、BRAC University-Institute of Education Developmentの所長へのヒヤリング、ならびにBRACの「教育についての政府とのパートナーシップ」プログラムについてのフィールド調査等を行った。また、政府の教員行政研修機関であるNAEMでは、政府サイドの教育計画に関する基本方針を確認した。他方、全国教育ネットワークであるCAMPEの活動とその背景にあるCommonwealth Education Fundおよび英国系のNGOのバングラデシュにおける活動を検討した。さらに、いくつかの他の教育NGOの聞き取り調査を実施するとともに、ユネスコ・ダッカオフィスの関連資料を収集した。 これらの情報をもとに、バングラデシュの教育計画におけるNGOの機能を分析し、以下の点が明らかとなった。(1)バングラデシュでは、他の2カ国と比べて教育計画・教育行政は、中央集権的であり、この分野でNGOがかかわることのできる事項は限られており、学校運営委員会の研修に関しても、NGOが分担する事例は例外的であり、常に中央政府の許可を必要とする、(2)したがって、BRACスクールのような政府の小学校に就学できない児童を対象としたNGO独自の機関による初等教育か、初等教育以外の就学前教育、識字教育ないしは学校外青少年教育の分野での活動に限られる、(3)しかしながら、これらの初等教育以外分野における活動を通して政府の小学校に影響を与えることをめざしている、(4)他方、NGOは全国教育ネットワークを組織することにより、教育実態調査、モニタリングや評価、アドボカシーなどの機能を果たしている。
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