研究課題
基盤研究(C)
1990年代以降の基礎教育普遍化推進においては、従来の政府主導のトップ・ダウンの教育計画よりも、コミュニティ住民の教育ニーズやオーナーシップを重視する、草の根レベルからの教育計画が求められているといえる。この教育計画では、コミュニティの教育状況の調査、プロジェクトの実施に対する評価などに住民自身が参加することが不可欠であり、その過程における住民の「学習」が鍵となる。そして90年代後半には、少なからぬNGOがコミュニティレベルで先進的な活動を展開してきていた。本研究ではインド、タンザニア、バングラデシュを事例に、政府の教育計画の動向、各国のローカルレベルのNGOが行う活動の実際、全国レベルでのNGOネットワークの構築、国際NGO等の各国のNGOに対する影響などの分析を行い、草の根レベルの教育計画におけるNGOの機能とその可能性を検討した。しかしながら2000年のダカール会議以降、基礎教育の普遍化に関する各国政府の責任や基礎教育における「質」が強調されるなかで、教育計画の分権化が政府主導で推進され、政府とNGOとのパートナーシップが確立されたものの、NGOのコミュニティの教育開発における独自の機能は次第に弱体化してきていることが確認された。そして、(1)NGOが中心となって全国レベルのネットワークを構築し、ローカルレベルのNGOの活動や調査の情報を集約して、政府の教育計画に対する政策提言を行う、(2)政府の教育計画の枠組みのなかで、コミュニティ住民のキャパシティ形成やモニタリングなどの機能を分担する、(3)就学前教育や青年層の教育など基礎教育以外の分野での活動実績をもとに政府の初等教育に影響を与えていく、などにNGOの機能が限定されつつあるといえる。さらに教育の市場化のなかで、営利を目的とする教育コンサルタントが成長してきており、政府のパートナーとしてNGOと競合する可能性も生じてきている。NGO(2)教育計画(3)参加型教育開発教育の分権化(5)基礎教育(6)インド(7)タンザニア(8)バングラデシュ
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すべて 雑誌論文 (6件)
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内外教育(時事通信社) 5683
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Naigai Kyoiku, Jiji Press No.5539
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