研究概要 |
本研究の目的は,大学生の卒業後のキャリア形成を支援するために,キャリア教育の内容と方法を検討することによって,有効かつ実践可能なキャリア教育プログラムを開発することである。その目的を達成するために次のような方法で研究を進めてきた。 1.アンケート調査の実施 大学におけるキャリア教育等に対する幅広い意見を聴取するために、卒業生や学校教員、企業家を対象にアンケート調査(質問紙調査法)を実施した。 2.キャリア教育プログラム(確定版)の開発 アンケート調査結果を参考に開発したキャリア教育プログラム(試行版)を若干修正し、キャリア教育プログラムの確定版を開発した。このプログラムは、次の2つに分かれる。 (1)「キャリアデザインI」:主たる対象は、大学2年生である。時期は2月で、2日間(15時間)の集中授業形式で実施した.受講生には「自分にとって働くことの意味」を徹底的に考えさせるよう、ビデオを見たり、集団討議を行ったりした。 (2)「キャリアデザインII」:主たる対象は大学3年生で、8月の4日間にわたる集中授業形式(30時間)で実施した。テーマは「自己分析--自己概念の明確化をめざして」として、2種類の検査(VPI職業興味検査と就職適性テストCA-PA)を実施した。両者の結果を個人内と個人間(つまりグループ)でもって検討し、自己概念の明確化を図った。 3.キャリア教育プログラム(確定版)の効果測定 前述のプログラム(確定版)の教育効果を測定するために、キャリア成熟等のキャリア形成に関わる質問項目を入れた質問紙調査をプログラムの実施前後で行った。その結果、キャリア成熟や「進路選択に対する自己効力感」などのキャリア意識は統計的に有意に高まることが判明した。したがって、本プログラムの有効性が確認されたといえる。
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