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2006 年度 実績報告書

日本の学力形成システムの現状に関する社会学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 16530543
研究機関上越教育大学

研究代表者

藤田 武志  上越教育大学, 学校教育学部, 助教授 (70324019)

キーワード学力形成 / 階層格差 / 効果のある学校 / 意欲格差 / フィールドワーク / 学力の経年変化
研究概要

本研究の目的は、日本の中学校において、生徒たちの基礎学力はいかに形成されているのかについて、学校内のフィールドワークと、質問紙調査によって明らかにすることである。
3年計画の最終年度である本年度は、学校内のフィールドワークを継続しつつ、学力がどう変化しており、それが何によって影響されているのかを検討した。具体的には、フィールドワーク対象校ともう1校の合計2校において中学1年生に対して実施した、小学校の総復習を内容とする学力テスト(第1回テスト)と、同じ生徒が中学を卒業する直前に実施した、中学校の総復習を内容とする学カテスト(第2回テスト)、及び、学力テストと同時に行われた質問紙調査の比較分析を行った。
第一に、テスト結果の全体的な変化について以下の点が明らかになった。(1)第1回テストよりも第2回テストのほうが学力格差が拡大していること、(2)第1回テストと第2回テストの両方とも、学力格差に対する社会階層の影響が見られること、(3)社会階層の影響力は第2回テストのほうが強くなっていること、(4)第1回テスト時の学力が、第2回テスト時の学力に大きな影響を与えていること、(5)学力の規定構造には科目による違いが見られること、である。
第二に、テスト結果の個々人の相対的位置(上位・中位・下位)の変化について、以下の点が明らかになった。(1)第1回テストでの位置と第2回テストでの位置は、約6割の生徒が固定的であり、上方に移動した生徒と下方に移動した生徒はそれぞれ約2割程度であること、(2)個人の移動にも社会階層が影響を及ぼしていること、(3)個人の移動の規定構造にも教科による違いが見られること、である。
第三に、フィールドワークを続けてきた中学校について、基礎学力はあまり高くはないものの、(1)社会階層による格差が比較的小さいことと、(2)PISA型学力については、部分正答が多く無答が少ないことから、解答への意欲が高いことが認められ、そこから、(3)総合的な学習の時間などに対する積極的な取り組みなど、当該中学校のカリキュラム上の特徴の影響がうかがわれることが明らかになった。
これらから、日本の中学校の学力形成システムは、社会階層による影響を免れていないが、それを緩和しているケースがあること、それはむしろ教科学習だけではない回路を通して、生徒たちの学習への意欲を喚起することによって達成されているという特徴を持っていることが明らかになった。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 学力格差の経年変化 -東京都S区の事例-2007

    • 著者名/発表者名
      藤田武志
    • 雑誌名

      教育経営研究 第13号(印刷中)

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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