平成16年度は計画していた以下の3点について研究を実施した。その概要は次の通りである。 (1)ライフヒストリーに関する内外における研究論文・著作などを収集し、教育研究を中心にこの手法の可能性と限界について検討を行った。とくに教師のライフヒストリーに関しては国内の研究論文を網羅的に収集し、この領域での業績は特定の研究者のものに限られ、いまだ十分に研究されていないことを明らかにした。また海外の研究動向についても、アイヴァー・グッドソン氏の近年の業績を中心にレビューし、方法論、および実例について検討した。 (2)教師を対象にしたフリートーキングを繰り返し、「市場化による教師の職務内容の変化」に関する教師の見解などのインタビューを行った。それとともにライフヒストリーのデータを収集し、その一部を分析した。その結果、教師は近年の教育改革を深刻に受けとめており、またその見解は地域によって多様であることが明らかになった。 (3)上で行った教師とのミーティングの結果を参考にするとともに、近年の教育改革に関する調査の収集・検討を行いながら、教育改革に関するアンケート調査を作成した。作成したアンケートをもとに予備的な調査を数度行い、現在、本調査を実施中である。アンケートの結果が整理できしだい、分析を開始し、現在の教師の教育改革に関する考え方を検討する。 以上、本年度(平成16年度)の成果は、平成17年の日本教育社会学会大会などで報告するとともに、大学の紀要などに論文としてまとめる予定である。
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