平成17年度は計画していた以下の3点について研究を実施した。その概要は次の通りである。 1 ライフヒストリーに関する内外の研究論文・著作などを収集し、社会学における近年のライフヒストリー研究を含め、この手法の可能性と限界について検討を行った。その成果は山田浩之「子ども社会研究におけるライフヒストリーの可能性」として『子ども社会研究』第12号、2006年(刊行予定)に発表した。また教育研究、とくに教師のライフヒストリーに関する重要な文献であるGoodson & Sikes 2001 "Life History Research in Educational Settings"を共同で翻訳し、『ライフヒストリーの教育学』(昭和堂)として2006年4月に刊行予定である。さらに方法論の検討の一部を用い「高等師範学校生のライフヒストリー」『国家・共同体・教師の戦略』(昭和堂)を公表した。 2 平成16年度に引き続き、教師のライフヒストリーのインタビューを行い、データを収集、分析した。主に中堅の教師と新任教師を対象としてインタビューを実施した。とくに中堅教師の聞き取りでは、近年の教育改革に対するとまどいが表れていた。また、多くの教師が多忙による「疲れ」を感じていることも明らかとなった。 3 教師のアンケート調査に関しては引き続き分析を行っている。この結果をもとに現在の教師の教育改革に関する考え方を分析、検討した。今後もさらに分析を続ける予定である。 以上の結果は、とくに教師のライフヒストリーとアンケートの結果を中心に、2006年度の日本教育社会学会、中国四国教育学会などで報告する予定である。
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