本研究は、諸外国から注目されてきた日本型学校=わが国の総合的・包括的教育が、近年の教育改革や学校機能縮小論の中で変容している実態を踏まえ、今後、学校や教師がどのような役割を果たすべきかを明らかにすることを目的としている。 研究期間を通じて、(1)子どもの指導と学校役割に関する教師の意識、(2)学校・教師に対する制度改革の実態と、それへの教師の評価を明らかにする調査研究を行うとともに、学校・教師役割の再構築のためのモデルを模索するために、(3)問題状況に対応する欧米での試み=restorative justiceの教育への導入について資料を収集した。 具体的には、(1)においては、アンケート調査『児童・生徒の諸問題に対処する学社連携に関する研究』を実施したほか、複数の県でインタビュー調査を、(2)については、全国の教育委員会に対して『教員評価政策に関するアンケート』を実施した。また、(3)については、平成17年3月にrestorative practiceの国際会議に出席し、また、平成18年2月にはイギリスで教育改革と教師の役割について、研究者と意見交流を行った。 収集したデータを考察した結果、次のようなことが明らかになった。第一に、学校役割と教師役割について考察した結果、4類型が析出され、論点の整理を可能にした。第二に、その類型の中で、これまでに殆ど言及されていないタイプの学校・教師役割類型があることが示された。第三に、その類型は欧米でののSchool as a core social centerの試みをモデルとして、わが国でも展開可能なであることを示唆し、また、教師=対人専門職論への研究の可能性を指摘した。 精緻化した分析はまだ途中であるが、以上の成果は科研費報告書にまとめられた。
|