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2004 年度 実績報告書

高卒フリーターの産出過程に関するエスノグラフィー研究

研究課題

研究課題/領域番号 16530551
研究機関中央大学

研究代表者

古賀 正義  中央大学, 文学部, 教授 (90178244)

キーワード進路多様校 / 高校階層構造 / 生徒文化 / キャリア教育 / フリーター / ニート / エスノグラフィー / インタビュー
研究概要

2004年度は本調査の初年度となるため、前半(6月-9月)で調査対象校と生徒・保護者への依頼および承諾をえる作業を実施し、後半(9月-翌年1月)で、実際にフリーター産出の割合がきわめて高い進路多様校2校(宮城県北部の普通科1学級と東京都三多摩地区の普通科2学級)の3年生(約90名)に対してアンケート調査と聞き取り調査を実施した。その際、調査の許諾に承諾書面を取るなど慎重を期し、また、実査の実施と分析整理においても、調査作業者に守秘義務等取り扱いに対する注意を喚起した。
結果の特徴をみると、アンケート調査時点では、進学・専門学校希望が実際の進路より高くなっている。その一方で、フリーター志望や未定者はきわめて少ない。非進学層のライフスタイルは、進学希望者に比して、友人関係の充実感が強く、勉強への意欲に乏しい。また、家庭の満足度も低い。学校が機会均等によって家庭・社会の文化的偏差を払拭しようとしてきたこれまでの努力が、こうした高校では成功しているといえず、むしろハンデキャップの問題を一層顕在化させているとみられる結果である。
とくに、エスノグラフィーやインタビュー研究は、非進学層の分析には有効であった。というのは、書くことに嫌悪感がある生徒でも、語ることによって伝えたいことがあり、またそれが感受的性格を強く持っていたからである。例えば、就職先を問われて「ビミョー」という回答をした生徒があり、その宙吊りで曖昧な気分を聞き取ることもできた。こうした調査から、進路を意思決定過程と位置づけることから成長への連鎖的な出来事へと読み変える必要があると感じている。
書籍・資料や海外のキャリア教育の動向にも目配りしながら、高校段階での進路選択への新たな理論枠組みを与えていく努力を今後も行いたい。また、卒業後の生活世界を聞き取ることで、進路の生徒自身にとっての意味づけに肉薄しそれを読み解きたいと思っている。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 青少年問題と地方自治体の役割-「ニート52万人時代」の青少年育成施策2005

    • 著者名/発表者名
      古賀 正義
    • 雑誌名

      みやぎ政策の風(宮城県庁発刊・政策情報誌) 3号(発表予定)

  • [雑誌論文] 進路多様校の生徒調査からみた進路希望と生活スタイル2005

    • 著者名/発表者名
      古賀 正義
    • 雑誌名

      中央大学教育学論集(中央大学出版会発刊) 第47集(発表予定)

  • [図書] 学校のエスノグラフィー-事例研究からみた高校教育の内側2004

    • 著者名/発表者名
      古賀 正義(編著者)
    • 総ページ数
      212
    • 出版者
      嵯峨野書院

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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