本研究は、カンボジア農村部におけるNGOの基礎教育支援活動の実態について調査し、また被支援者の意識を調査するものである。 カンボジアの基礎教育支援活動について、C.C.HOMEとNERCという2つのNGOの活動に関して、フォーマル教育とノンフォーマル教育について、調査した。 共に、現地の住民の主体性を重視した活動であり、地道ではあるが、確実に実績を積んでいると言える。C.C.HOMEは、カンボジア北部のポイペットにおいて小学校建設と運営を中心におこなっているが、地域住民の主体性を重視した活動であり、単に建物を作るだけではなく、教員へのサポートや地域住民との農村開発も同時に行っている。NERCは、プノンペン郊外の農村地域で移動図書館を現地スタッフと各農村の住民との連携で実施している。 国際協力の目的は、開発途上国へ支援すること自体ではない。支援を通じて、開発途上国が自立し、自由を手にするために行うのである。そのためには、支援のあり方、過程を間違ってはいけない。2つのNGO支援活動のケースは、共に被支援側の自由と自立を尊重した形の活動ということが言える。一部ではあるが、漸く開発途上国の支援活動が、人権を重んじた自由と自立を尊重したものになってきたと考えられる。 ところで、支援を受けている側の教育に関する意識も高まっており、学校教育の理解も深まっている。ただ、意識と現実のギャップがまだまだ大きい。たとえば、子どもを大学まで行かせたいと思っている親は、70%を超えているが、現実の大学進学率は1%にも満たない。つまり、意識は、高まっているが貧困のゆえに子どもを長きにわたり学校に行かす経済力がないのが現状である。 また、教師の教育に対する意識は、それなりに高いが、実際の教育活動そのものは、決してたかいものではない。その理由の多くは給料が極端に少なく、教師の収入だけでは到底生活できないという現状がある。 以上、カンボジアの農村部における基礎教育をNGOの支援活動という観点からみてきたが、その方向性は間違いないが、まだまだその規模やカンボジアの経済状況の厳しさによって、基礎教育のレベルはまだまだ低いということが明らかになった。 カンボジアの教育の発展を願いつつ、これからも継続的な調査を実施していきたい。
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