研究課題/領域番号 |
16530561
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
立原 慶一 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (10136369)
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研究分担者 |
蝦名 敦子 弘前大学, 教育学部, 教授 (20302010)
金子 宜正 高知大学, 教育学部, 助教授 (20263965)
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キーワード | 図画工作科 / 知性教育 / 理論的研究 / 実践的研究 / 主題表現 / 造形遊び / 精神的倫理的なあり方 / 伝え合いたいこと |
研究概要 |
学習指導要領図画工作編は、材料や場所から発想する造形活動を一方の柱に立て、意味や概念が住まう脳内イメージではなく、材料や場所など外部の存在を基にして想像する外在的なイメージを基軸とすることで、観念や感情を一切前提としない反知性的な枠組みを鮮明にした。しかもその性格を裏付けるように、ことさらに造形活動の「楽しさ」が強調されている。 そうした中にあって、増補内容「伝え合いたいこと」は人間と現実に対する知見の存在を条件としているので、これまで教育現場を指導してきた美術教育の考え方と比べてみても、それは意外にも知性教育の立場にある。とにかく解説書に「伝え合いたいこと」はその根拠は示されないものの、自分を見つめ人を分かろうとする大切な表現の内容である、と述べられている。それは精神的倫理的なあり方をめぐる主題表現と見なしてよかろう。そうした思想的な事柄を、造形的に捉えさせようとする行為は当教科において画期的な出来事なのであり、図画工作科が鑑賞行為以外で人文主義的教科としてのあり方を、ようやく自覚した事態とも考えられる。 本研究はそれを前提として、図画工作科における知性教育が教科目的を達成しうる、という命題を基本的な仮説として設定した。ここで目的とは要領が提示している、「造形表現力」の育成と「情操」の涵養である。それが方法論的に、果たして正しいのかどうかを考察し、はたまた実践的に有効かどうかを確かめた。すなわち知性的美術教育の活路を新たに拓くべく、題材考案・設定をはじめとして、具体的な指導法や指導過程などとの関連を理論的に考察し、そこで構築された実践的方法論の妥当性を見きわめた。第二に、それに基づいた題材実践を行うことで、その理論の教育現場における現実性や実効性が検証された。
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