[目的]本年度は、次の事項について研究を遂行した。 1.日本人学校の研究を深めるため、フィリピンのマニラ日本人学校とアメリカのニューヨーク日本人学校を訪問し、家庭科の教育環境を明らかにすることを目的とした。 2.アメリカのセントラルケンタッキー日本人補習校を訪問し、児童・生徒を対象に家庭生活や家庭科観に関する調査を実施し、特質を明らかにした。 3.帰国児童・生徒を指導している家庭科教師および日本人学校の家庭科教師の家庭科指導の現状を明らかにすることを目的とした。 [方法] 1.2006年9月および10月に、マニラおよびニューヨーク日本人学校を訪問し、家庭科の授業や家庭科関連の施設・設備の現状を調査した。さらに、学校長および家庭科教師に児童・生徒の実態についてヒヤリングした。 2.2006年10月、セントラルケンタッキー日本人補習校を訪問し、児童・生徒の家庭生活や家庭科観を調査した。 3.2006年6〜9月に日本人学校の家庭科担当教師を対象に、7月〜9月に帰国児童・生徒を指導している家庭科教師を対象に質問紙調査を実施した。 [結果] 1.各日本人学校の家庭科の施設・設備や家庭科の指導には特徴がみられた。授業の中で異文化理解や現地理解の指導が展開されていた。 2.補習授業校の児童・生徒の家庭科に対する認識は低く、未学習が要因であることが明らかとなった。 3.半数の教師が帰国の児童・生徒を意識して指導していた。関心や理解度は一般の児童・生徒と変わらないと認識していた。また、日本人学校の家庭科担当教師は、自己の専門性や授業時間数の減少を問題点としてとらえていた。また、現地生活をふまえた家庭科の教材を工夫していた。 4.2006年7月の日本家庭科教育学会49回大会、12月の日本教科教育学会32回大会において口頭発表した。
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