1 実践校へのアンケート調査 全国市町村教育委員会から報告を受けた学校、小学校168校、中学校75校、養護学校1校宛に、「音楽が関わる総合的な学習についてのアンケート」を送付し、インターネット上に設けた「音楽が関わる総合的な学習についてのアンケート」への書き込みならびにFAXによる回答という手法を用いて回答を依頼した。その結果、1)総合表現活動(オペレッタやミュージカルなどの音楽劇、地域素材による表現活動など)は、小学校107事例、中学校19事例が報告された。2)現代的課題と音楽が関わった事例は少なく、国際理解教育としては小学校10事例、中学校3事例が、環境・福祉・平和教育としては小学校16事例、中学校6事例のみであった。3)地域や学校の特色に応じた課題として民俗芸能などの地域の音楽を活用して地域学習を行っている事例としては、小学校123事例、中学校43事例にのぼり、1)〜3)の分類項目別の事例数としてはもっとも多い事例が報告された。 2 実地調査による事例研究 沖縄県石垣市立石垣小学校の「ふるさと祭り」、新川小学校の「豊年祭」、沖縄県八重山郡竹富町立小浜小中学校の「こはまタイム」などの取り組みを中心に、石垣市ならびに竹富町の小中学校における音楽が関わる総合的な学習について、事例の収集を行うとともに意見交換を行った。いずれの学校でも、地域の全面的な協力を得ながら、総合的な学習の題材として地域の芸能に取り組むことで、児童・生徒たちの地域への関心が大きく育っていることが明らかとなった。 3 ワークショップによる今後の方向の提示 東京学芸大学のプロジェクト学習科目「人間と表現」を発展させた活動として、音楽劇の専門家によるワークショップを開催し、それをふまえて総合表現活動としての音楽劇を総合的な学習に取り込むための方法について具体的な方策を示した。
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