研究概要 |
本年度は最終年であり,収集した文献の整理やアンケートをしたデータの集計、分析を行った。 日米比較アンケートの結果を集計しグラフ化し分析をした。一部,カイ二乗検定などを行った。 データの分析からは,美術教育で養うべき能力に関する日米の意識調査の比較からは,日米ともに美術学習における「努力」と「学校教育」の役割を重視することがわかった。米国人は一般に努力よりも才能を重視するといわれるが,今回の調査では学習の成功要因として才能(talent)を挙げた米国人はごく少数であることもわかった。 また,教科目標に関わる意識については,米国では,美術の活動を楽しむ以外には視覚文化に関わるコミュニケーションを大切にすること,日本では,感性,創造力,活動を楽しむことの3点を重視する傾向が強い。日本人のこの目標観は,現在の学習指導要領の目標が反映されたものといえる。 最終報告者は現在作成中である。「生きる力」,「学力」そして「コンピテンシー」の3つの教育理念を,子どもが学習する場面で統合するのが,図画工作、美術科の教科目標に掲げられている「感性」であるとの仮説を検証する。 日米の美術教育関係者の意識調査の比較を通して,学校教育のなかで子どもの努力する態度を大切にしていこうとする願い,美術教育が他のいわゆる主要教科と呼ばれる教科と比べると,その意義が管理職や保護者に十分理解されていないという認識などを,日米で共通の課題としていることが確認できた。
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