本研究は、明治30年代半ばに来日した南ウェールズ出身のイギリス人女性教育家エリザベス・フィリップス・ヒュースの生涯と、我が国の美術教育思潮に与えた影響(黒板画ブームとでもいった現象を引き起こした)について、詳細なデータを添えて解明しようとするものである。 平成17年度は、昨年度に引き続き和文・英文文献資料の収集に努め、ヒュース関連文献目録(延450件)をファイル・メーカー・プロ7.0で作成した。その一方で、国内では北海道大学附属図書館、北海道立図書館、札幌市立図書館、東京大学附属図書館、東京大学法学部附属近代日本法政史料センター、国立国会図書館、国立教育政策研究所、和歌山県立図書館、鳥取大学、鳥取県立図書館、米子市立図書館、イギリスではウェールズ大学レジストリー、グラモーガン・レコード・オフィス、バリー図書館、バリー市役所、タウン・カウンシルにおいて調査を行った。 結果、ヒュースは北海道に渡り札幌を訪れた筈であるがそれを直接証明する資料が存在しないこと、鳥取での足取りは当時の新聞が全く残っていないため詳細は知りようがないことがわかった。ただし和歌山を訪れた証拠が『紀伊教育』に見つかった。他方、イギリスでは、カーディフにおいてヒュースのウェールズ大学名誉博士号授与記録、遺産相続の記録が得られた。またバリーではヒュースの自宅("Penrheol" 2 Parkroad)、墓(バリー墓地H75)、死因(動脈硬化による尿毒症)等をつきとめたほか、ヒュースの家族について詳細な情報が得られた。
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