研究概要 |
本研究は,児童生徒にとって,コンピュータ操作によるバーチャルな立体モデリングがどういう活動であるのか,その表現の豊かさと興味深さを特定し,それぞれについて克服ないしは強調するための環境を明らかにし,指導法を提示することを目的としている。 本年度は,前年度からの研究を継続する形で,データ収集システムを増補し,データ収集・分析を行い,3DCGによる動画制作において,教育的な観点から,獲得させるべき技能,体験させるべき試行錯誤,さらには省略すべき事項を提案した。それをもとに,実際の中学校での実施を前提とした教育プログラムを設計し,それを実施し一定の成果を得た。以下に,順を追って具体的事項を示す。 ・3DCG制作の過程における三次元形体のモデリングが困難である理由として,制作者に概念的思考が要求されことが大きな要素をしめることを,実験データから示した。 ・美術教育における表現技術指導の方法をして,一律に,概念的思考の獲得を目的とする指導法には問題あることを指摘し,その問題を迂回する指導法として,PBLチュートリアルの導入について検討した。 ・一般的に用いられる3D動画制作用の市販のソフトウエアのモデリング機能に対応するものとして,教育用のソフトウエアを改良・精選し,チュートリアルに適したシステムを設計した。 ・上記のシステムによる暫定的な教育プログラムにより,大学生を対象にした予備実験を行い,成果として,チュートリアルの方向性についての所見を得た。 ・上記の所見から改良した暫定的な教育プログラムにより,中学生(三重大学附属中)を対象にした実験的教育活動を行い,授業時間の大幅な短縮,生徒の個性に応じた表現方法の獲得などの成果を得た。 尚,この内容は,京都教育大学で開催される第28回美術科教育学会にて,平成18年3月26に口頭発表する。
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