研究概要 |
本研究の趣旨は,総合学習の質を高め,さらに社会・自然や生活と遊離してしまった算数・数学科の授業を改善し,その中で創造性を育成することを目指している。 これまでの一連の研究で,創造的態度の評価方法を開発した。創造性因子として拡散性,論理性,積極性,独自性・独創性,集中性・持続性,収束性,精密性,探求力を採り上げ,創造的態度の調査項目とそのアンケート調査用紙を作成し,授業ごとの形成的評価を試みてきた。 そこでは,学校で遠隔協同総合学習を実施し,次の2つを明らかにすることを目的とした。 (1)生徒自身で解決できるレベルの遠隔協同総合学習の教材を開発する。 (2)遠隔協同総合学習を通した創造性の育成の過程について,その様相を明らかにする。 本年度は,上述の研究成果を継承・発展して,次の3つの研究目的を設定した。 (1)ビデオ会議を利用した創造性の育成を目指す総合学習の方法論を確立し一般化を試みる。 (2)算数・数学をはじめ諸教科の教育内容の見直しと新しい意味づけ,新しい総合学習的な教育内容の作成と体系化を行い,教育実践を通してそれらの妥当性を検証する。 (3)総合学習における「創造性」について,評価方法と評価用具・評価項目などを開発する。 平成16年度は,先行研究の仮説・研究成果をもとに,創造性の育成を目指す総合学習の方法論の確立と一般化を目指して,一連の遠隔協同総合学習を実践・実施した。 平成17・18年度は,学習者の意識の変容を把握する2つの評価方法を開発した。新奇性,興味・関心,創造性.親近感,意欲を因子とした感性評価法の開発により,作成した評価項目を用いて,毎時の形成的評価を実施し,算数・数学的要素の抽出を試みた。また,遠隔協同授業の相手先(ドイツ・タイなど)への海外渡航研究・海外研究者招聘研究・技術的な支援,国際学会発表を実施し,海外との研究交流の円滑な進行を図った。
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