研究課題/領域番号 |
16530590
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
赤木 里香子 岡山大学, 教育学部, 助教授 (40211693)
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研究分担者 |
山口 健二 岡山大学, 教育学部, 助教授 (90273424)
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キーワード | 美術科教育 / 美術教育 / 美術館教育 / 美術鑑賞 / ビジュアル・シンキング / キュレーション / 国吉康雄 |
研究概要 |
本研究課題の最終年度として、鑑賞と表現を有機的に結びつける第三の領域・キュレーション(Curation展示企画)活動を授業内容として導入した中学校美術科単元を開発し、一連のモデル的な授業実践を行うとともに、岡山県教育センターと岡山大学教育学部の共催による教員研修プログラム(10年経験者向けと中高校美術教員向け)を実施し、単元モデルの普及を図った。 本研究が提唱するキュレーション活動を導入した単元モデルを実践したのは、岡山市立岡北中学校である。同校教諭森弥生氏の全面的な協力を得て、2年生(5クラス182名)対象に美術科総合単元「オリジナル美術館を創る」(全18時間)を展開することができた。この単元は、岡山県立美術館で開催された「国吉康雄展」での校外学習を組み込んだものである。この展覧会に際して作成された教師向け『美術鑑賞ガイド』(研究代表、研究分担者および協力者である森教諭は本書の作成委員である)は、いわゆるビジュアル・シンキング法によって教師と生徒あるいは生徒同士が『対話』を重ねながら鑑賞体験を深めることを重視している。この対話型鑑賞によって「見る」経験を積み国吉作品に親しんだ生徒たちは、主体的に「知る」欲求を高め作家の魅力に気付くと同時に、その魅力を伝えるために何を誰にどのように「見せる」ことができるかを「美術館を創る」という課題を通じて探究した。生徒の意識を「見る」ことから「見せる」ことに転換させる過程では、実際の美術館における展示方法の違いに気付かせる授業や、同じ作品群からテーマによって全く異なった作品選択と展示が発生することを体験的に学ばせる授業を組み込んだ。最終的に、32の生徒チームそれぞれが独自の展覧会テーマを決定し、岡山県立美術館の1/50の大きさの会場模型と、主旨説明文、作品解説、ポスター、グッズやワークシート等を展示したB全大パネルを完成させた。 以上の研究の総括については、本年度末の、National Art Education Association(全米美術教育学会)ニューヨーク大会と美術科教育学会(金沢大会)で報告した。
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