研究概要 |
1.研究の目的:教員を目指す学生が「算数科カリキュラム」にどのような認識を持っているか。またそれを計画(編成)・実施(授業)・評価・改善の4つの段階からとらえたとき,どのような特徴があるのか等について明らかにする。また本研究を継続して,学生の算数科カリキュラム観の実際とその変容の様相をとらえる。 2.研究の方法:これまでに開発してきた教員を対象とした調査項目を見直し,学部学生の算数科カリキュラム観を評価するための調査項目を作成した。この調査項目を用いて,学部授業「算数科教育論」を履修している学部2年学生(80名)他を対象として調査を実施した。この結果を分析するとともに,抽出学部学生を対象としたインタビューにより事例研究を進めた。 3.研究の結果:算数科カリキュラムの認識については,「計画,授業,評価の総体」及び「各学校でつくる教育計画・指導計画」とした回答がそれぞれ30%を占め,「学習指導要領に示された内容」及び「実施する授業内容の全体」との回答がそれらに続いている。学部2年の段階では,「算数科カリキュラム」の認識は,ばらつきが大きいことが分かった。また算数科カリキュラムを計画(編成)・実施(授業)・評価・改善の各段階からとらえるために,実施した調査項目を用いて,評価尺度を作成し,その得点を求めた。それによると,算数科カリキュラムの認識の違いが明確に表れたのは,授業(実施)の段階のみである。このことから,学部2年の段階では算数科の授業を手がかりに算数科カリキュラムをとらえているものと思われる。 4.今後の課題:本年度の調査対象となった学部学生について追跡調査をするとともに,新たな学部2年学生を対象に調査研究,インタビューによる事例研究を進める。
|