研究概要 |
1.前年度(平成17年度)に行った学校との連携を推し進めてきた美術館4館(世田谷美術館ほか)のなかで,創設の準備段階から学校との連携について計画的に取り組んできた「横浜美術館こどものアトリエ」の運営について具代的に検討し,ボランティアやワークショップの概念について,どのように概念規定をし,運営を行えば,学校との連携が進捗するのかという点について主題化し,研究した。その成果について,第29回美術科教育学会金沢大会(平成19年3月24日〜25日)にて,宮脇 理(元筑波大学教授)・井上由佳(国立歴史民族博物館)とともに,「横浜美術館子どものアトリエ創設準備期の基本コンセプトをめぐる考察-新たな美術館教育をめざした研究プロセスの歴史とともに」と題して口頭発表を行った。(この科研費に基づく研究であることを明記している。) 2.一昨年度に実地に調査し,昨年度にその歴史と教育普及について論文としてまとめたテイト・ギャラリーの教育機能について,さらに研究を深め,この美術館の学校連携の要となっている教師用ガイドについて,その内容と構成について検討し,評価した。これをもとにして,日本の美術館が学校と連携する際に作成すべき教師用ガイドの要件などを整理し,その理想的なスタイルを考察した。この研究成果については,平成19年3月に発行した研究成果報告書(冊子)にまとめている。 3.北京師範大学など,中国の主要な教員養成系大学の研究者が参加し,平成18年10月22日に開催された「第二回日中教師教育学術研究集会」(会場:鳴門教育大学)にて,小学校や中学校と地域の美術館の連携を推し進めているプロジェクトについて事例研究を行い,二つの実践的プロジェクトの成果と課題を明らかにした。この発表にかかわる共同の発表者は,森芳功(徳島県立近代美術館学芸員)和田咲子(大塚国際美術館学芸員)中村幸子(兵庫教育大学連合大学院博士課程院生)であり,論題は「地域の美術館と教員養成大学の連携がもたらす学校教育改善の成果と展望-「地域文化財教育活用プロジェクト」と「鑑賞教育推進プロジェクト」を中心に-」である。(研究発表概要集に,この科研費に基づく研究であることを明記している。) 4.鳴門教育大学附属小学校にて,徳島県立近代美術館が収蔵し,展示しているパウル・クレーの作品に関するワークシートと,これと併用することによって教育的効果をあげる画像などを含むパワーポイント教材を作成し・利用して,山木自身が授業を実施した。その成果と課題については,研究成果報告書(冊子)にまとめている。 5.歴史資料を扱う博物館の学校利用を検討し,日本の世界遺産の観点から教材化を図り,その成果を教材研究にかかわる図書への部分執筆によって,明らかにした。
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