スペシャル・ニーズのある子どもたちを対象に、以下のとおり前年度に引き続き研究を進めた。 a.髄膜炎による発熱により心肺機能が一時的に停止し、片足の反射運動のみが観察されるほどの障害を受けたが奇跡的に回復し、しかし、小2時に情緒障害と判定され記数法における位取りの原理の理解に困難があった生徒。繰り上がり・繰り下がりにっいての有意味学習で、十分な概念的理解と計算技能の獲得に達している。その学習過程を記録として収集した。 b.知的障害はないと考えられるが不注意による、あるいは思い込みによる考え違いが繰り返し観察される、繰り上がりのあるたし算学習に困難があった児童。この児童は、教育的な介入によって加減の計算技能を獲得し、その後、かけ算の学習を進め、現在、その十分な達成に至っている。この学習過程の資料を収集した。 c.知的な障害はないが落ち着いて作業できずにミスを繰り返し、繰り下がりのあるひき算学習に困難があった児童。この児童についても、bと同様な研究成果を得た。 d.自閉症が診断されている、わり算まで機械的な学習で進んだが、そこから進めなくなった児童。無意味な機械的な手順の暗記が学習の内容であったこの児童について、有意味化の過程を観察し、ゆっくりではあるがその進展が確認されつつあり、その記録を収集した。 e.水痘症で何がしかのダメージがあって、小5時段階でも繰り上がりのあるたし算でつまずいていた生徒。この生徒は、加減の計算を終え、かけ算の学習を進めた。現在、かけ算の意味を考え、積が求められるようになっている。この学習過程の記録を収集した。 f.知的な障害があり、数唱は百まで訓練されていたが、十進法の考えが理解できていなかった生徒。この生徒について、十進法を理解する過程を観察した。まだ、十進法の概念獲得には至っていないが、そのためのいくつかの学習の段階が観察され、資料として収集した。
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