研究概要 |
スペシャル・ニーズのある,以下の子どもたちの学習に介入し(治療的な教育),数認識の発達の過程を観察し,WEBデータベース資料とした。すなわち,髄膜炎による発熱により心肺機能が一時的に停止し、片足の反射運動のみが観察されるほどの障害を受けたが奇跡的に回復し,しかし,小2時に情緒障害と判定され記数法における位取りの原理の理解に困難があった生徒。知的障害はないと考えられるが不注意による,あるいは思い込みによる考え違いが繰り返し観察される,繰り上がりのあるたし算学習に困難があった児童。知的な障害はないが落ち着いて作業できずにミスを繰り返し、繰り下がりのあるひき算学習に困難があった児童。自閉症が診断されている,わり算まで機械的な学習で進んだが,そこから進めなくなった児童。水痘症で何がしかのダメージがあって,小5時段階でも繰り上がりのあるたし算でつまずいていた生徒。知的な障害があり,数唱は百まで訓練されていたが,十進法の考えが理解できていなかった生徒。ダウン症の児童。 これらの児童・生徒の学習について,ゆっくりではあるが,確実な達成を,しかも顕著な達成を実証的に示し,かつ,その学習の過程をデータ・ベース化し,WEB上で多くの現場教師が参照できるようにした。かつ,これらの子どもたちの学習の進行を評価するために,認識発達を概念獲得とナンバー・センスの発達で捉える視点,及び,これらの子どもたちに対する教育介入の方法を,学習を定義し,その学習の進展を学習矛盾という概念で説明できることを,収集データで示すことができた。 但し,収集データの電子媒体化がまだ完了しておらず,また治療的な教育介入も継続しており,未解明な学習の過程もある。本研究の成果は養護学校や仲良し学級などの子どもたちの授業づくり・カリキュラム開発につながるが,多くの教師とその成果を共有するためには学習理論として整理しなおすことも必要となっている。
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