本年度は本研究の最終年度にあたるため、本研究のテーマである「視覚障害児用の視覚・触覚認知検査の実用化研究」において取り組んできた検査用具とその手引書の作成を行った. 本研究では、特に教育現場で活用できる次の4つの検査について実用化を目指した。すなわち、(1)視覚障害幼児及び重複障害幼児の視覚活用を評価する「VAP-CAP(J)検査」、(2)盲児童生徒の触覚情報処理速度を客観的に評価する「触覚による情報処理スピード・テスト(STIP検査)」、(3)点字学習導入前の触覚弁別力を評価するための「触覚形態弁別検査」、(4)盲児童生徒の触覚による学習適正のための「盲児用学習適性検査」、等である。 これらの検査のねらいは、視覚障害のある幼児児童生徒が、日常生活や種々の学習場面において、どのように視覚あるいは触覚を有効に活用しているかを正しく把握し、その効果的な支援を行っていくための情報と教材を提供することであった。今回作成した諸検査は、視覚障害のある幼児児童生徒の「目でみる力と手でみる力」を定量的に評価できるようにしたが、定性的な評価としても活用できるようにした。 今回作成した検査では次の利点が確認された。すなわち、(1)「改作版VAP-CAP(J)検査」では、障害幼児の見え方及び視覚認知が的確に把握され、その実態に応じた支援プログラムが提供されること、(2)触覚による情報処理スピード・テストでは、盲児童生徒の触覚処理速度を客観的に把握できること、(3)触覚形態弁別検査では、中途失明者の触覚形態弁別能力の客観的把握とその形態弁別力に応じた支援プログラムが提供されること、(4)改作版盲児用学習適性検査では機能的な触覚認知能力が客観的に把握できること、などが確認できた。本研究成果報告書では、上述の諸テーマを合本としてまとめて作成した。
|