研究概要 |
本研究では,県内の企業と学校関係者,障害者本人,保護者間の連携により,社会調査,実際の就労場面を用いた評価,改善案の提示,再評価を行い,その結果を養護学校での就労支援を中心とした個別移行支援計画の構築に反映させることで,上記の問題の具体的な改善を図ることを目的とする。そのための足がかりとして,初年度は,以下の調査を同時並行的に進めた。 県内養護学校の進路指導主事2名と県の福祉政策課の担当者1名へのインタビューを行った。その結果,1)本県では,養護学校卒業後の進路については,各学校ごとに独自に開拓してきたため,学校間の連携がこれまでは十分にとれていなかったが,最近ようやく進路指導主事会のネットワークが活用されつつあること。2)授産施設が本来の役割を十分に果たし得ておらず,福祉的就労から一般就労になかなかつながらないといった実情を抱える一方で,県に新政策課が新設されたことに伴い,障害者の職域拡大のためのプロジェクトが立ち上がりつつある,といった県内の状況を把握することができた。 県内の養護学校教員,保護者,福祉行政担当者,作業所職員などによる検討会を月1回程度実施した。必ずしも本人の適正にあった仕事が得られているわけではない実情に対して,専門家が適切な作業能力評価を行っていくことの意義と必要性が示唆された。 養護学校の卒業生で一般就労をしている人5名を対象に,就労場面のビデオ分析を行った。方法がわからずにとまどってしまう場面などで,適切なタイミングで指示が得られればスムーズに作業できる可能性があることや,仕事場面以外での昼休みに孤立している状態がみられ,一緒に食事をとり,コミュニケーションが図れればさらに就労意欲が増す可能性があることなどが示唆された。
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