本研究の目的は、米国における障害乳幼児のための環境アセスメントに関する先駆的な研究を参考にしながら、障害乳幼児の療育において、未だわが国では目が向けられていない「家庭環境アセスメント」を開発し、「家族力」を最大限に生かすことのできる具体的な支援方法を確立することである。 本年度は、障害乳幼児の家族支援に向けた環境アセスメントの開発に向け、0〜72ヶ月の乳幼児の運動・感覚、言語、社会性の発達を把握して支援の手がかりを得ると共に、家庭での支援を支え、個別家族支援計画に活用することのできる180項目で構成されるムーブメント教育・療法プログラムアセスメント(Movement Education and Therapy Program Assessment-Revised)を作成した。さらに、障害乳幼児を持つ保護者への調査を行い、保護者の育児に対する意識とムーブメント教育・療法による支援の関連性について検討した。さらに、言語を獲得した自閉症児のMEPAによる縦断的発達分析を通して、コミュニケーション能力が広がりにくい自閉症児に対する療育のあり方と家族のQOL(生活の質)の安定について明らかにした。これらの研究から、ムーブメント教育による発達支援は、家庭での遊び環境を工夫することや地域(公園や児童館等)の環境を活用することで、より有効に機能すること、また、ムーブメント教育を通して家族間におけるコミュニケーションも広がり、児の発達と家族の力量、QOL共に向上することが明らかになった。そして、ムーブメント教育・療法による障害乳幼児の療育支援に向けた家庭環境アセスメント項目の検討を行った。
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