研究概要 |
本研究の目的は、米国における障害乳幼児のための環境アセスメントに関する研究を参考にしながら、障害乳幼児の療育において、我が国では目が向けられていない環境アセスメントを開発し、家族力を最大限に生かすことのできる具体的な支援方法を確立することであった。 まず、米国のNECTAC(National Early Childhood Technical Assistance Center)で提示しているいくつかのFamily Outcomesにつながる家族アセスメントを概観した。これらの家族アセスメントの多くにはAEPS(Assessment, Evaluation, and Programming System)が使用されていること、このAEPSは、我々がこれまで取り組んできたムーブメント教育におけるアセスメントツールと多くの共通点が見られることが明らかになった。 そこで、我が国における障害乳幼児の家族支援に向けたカリキュラム・ベースのプログラム・アセスメントMEPA-R(Movement Education and Therapy Program Assessment-Revised)を開発し、アセスメント項目に対応するプログラムを作成した。そして、このMEPA-Rを活用して、ダウン症児、自閉症児とその家族を対象としたムーブメント教育法による支援に関する事例研究に取り組んだ。事例研究の結果、MEPA-Rを活用することで、対象児の発達促進に向けて家族が楽しく参加できるプログラムが実施できること、これにより家族力を最大限に生かした支援が可能になることが示された。 さらに、障害乳幼児の発達支援におけるアセスメントは、実施、結果の解釈、プログラムの作成において、専門家のみならず家族にとって理解しやすいことが重要である。そこで、MEPA-Rをさらに発展させ、基本的な発達項目の通過月齢に基づく環境アセスメントの試案を作成した。本研究における一連の結果から、MEPA-Rによる環境アセスメントは、支援一体型のシステムであること、家族参加を促進すること、遊びを主軸に据えて環境を取り込んだ活動であること、発達を総合的に捉えていることからその有効性が確認できた。
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