○2005年度社会事業史学会自由研究発表 「池田千年の保護児童教育論に関する研究(その1)」 感化教育の先覚者である早崎春香および東大医科大学精神科主任教授呉秀三の薫陶を受け、精神科医として兵庫県立土山学園第2代園長として活躍した、池田千年の保護児童教育論の検討を行った。池田は、感化教育会の主要メンバーのひとりであり、感化法改正期成同盟の中心人物でもあった。彼の保護児童教育論には、(1)児童鑑別の必要性や障害児学校および児童精神病院設立を要求するなど、精神科医としての科学的な児童実態把握や適切処遇要求の視点、(2)保護教育(感化教育)を学校教育と対等な義務教育とすべきという立場での、保護児童の義務教育保障の視点、が内包されている。彼の保護児童教育論の検討を通して、感化教育における障害児問題の展開の一斑を明らかにした。 ○資料収集などの研究の基礎作業実施 ・留岡と同様に感化教育会のオピニオンリーダーであった池田千年に関する文献・資料の収集およびリスト作成などの基礎作業、および彼が園長をつとめた兵庫県立土山学園(現在の明石学園)所蔵史資料の整理・保存作業を実施した。また、池田と親交のあった武田慎次郎設立の武田塾所蔵資料調査、大阪府立修徳学院所蔵資料調査を実施した。
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