●本研究は島嶼圏を抱える沖縄県の地域的な特殊性に鑑み、離島地域である宮古島の地域性を最大限に活かした今後の特別支援教育の在り方を、地域ネットワーク作りを通じて考えていこうとするものである。初年度は、県立宮古養護学校と協力して宮古圏域の公立学校を対象とした悉皆調査を行った。アンケート内容は各学校に在籍すると思われる「気にかかる子ども」の実態と、教職員の困難や悩み、さらに今後宮古養護学校に求められるニーズについて調査した。 ●調査結果から「気にかかる子ども」は圏域全体で1.30%を占め、さらに公立学校の担当教師の困難についても明らかとなり、全体の80%以上の教諭が養護学校との連携の必要性を訴えていた。 ●一方で、教育の分野を始め、医療・保健、福祉の3つの大きな関係分野を念頭に置き、各分野でこれまでに個別に行われてきた障害児支援の歴史と現状について調査、研究を進めた。 ●これまで宮古島では障害児に関わる関係諸機関がそれぞれ独自に支援を行ってきたが、教育、医療・保健、福祉の関係分野相互の連携はほとんど行われておらず、相互の情報交換がきわめて不足していることが明らかとなった。宮古養護学校の特別支援教育コーディネータの役割として、この関係諸機関との連携役が求められており、来年度以降は、教育の分野のみならず関係諸機関に対する詳細な調査・研究が必要であることが示された。 ●医療・保健の面から見た支援としては宮古病院と保健所を中心に行われてきたが、特に障害児の専門家が島内に不在であったことから、県外の専門家を年に一度招聘して、医療相談に当たってきたという経緯が明らかとなった。現在は県の巡回医療相談・訓練が毎月行われているが、来年度以降は宮古養護学校との連携の基、教育相談窓口をこの巡回相談と同時に開設できるよう準備を進めている。
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