研究概要 |
通常の学級で学ぶ盲児童が使用する点字教科書編集システムの在り方を探ることを目的に,今年度は以下の研究を実施した。 1 点字導入指導方法に関する文献の分析 点字指導法に関する8文献から,我が国の点字触読導入方法を明らかにすることを目的に実施した。その結果,点字導入法は先天盲児と中途視覚障害者に対する指導の二つに大別でき,盲児に対する指導が「縦半マス読み」であるのに対し,中途視覚障害者では点字を「形」として捉えて指導していく方法であった。これは,学晋の手段として点字をできるだけ速く読むことが求められる盲児と,速さは二の次で点字を文字として活用できることを主たる目的とした中途視覚障害者との違いであると考えられる。この成果は第44回日本特殊教育学会で報告した。 2 ボランティア作成による算数科点字教科書の編集方法の分析 文部科学省著作教科書と3種類の点訳ボランティアによって作成された点字教科書について,算数科における数式の点字表記を比較することを通して,通常の学級で用いられる点字教科書編集の課題について検討した。その結果,図や挿し絵の編集方法の違いだけではなく,作成するボランティアによって異なる数式表記がされていたことが分かった。検討した教科書は,点字表記の改訂直後に編集されたものであり,記号や符号が正しく使用されていなかったことは,編集者に改訂の内容が十分に周知されていなかったことが推測される。この成果は第44回日本特殊教育学会で報告した。 3 ボランティア等による点字教科書編集方法の統一化に向けた動きの情報収集 一昨年組織された「全国視覚障害児童・生徒用教科書点訳連絡会」が開催した研修セミナーに参加し,質の高い点字教科書の安定供給を目指すためのデータ共有の方途などに関する情報収集を行った。 4 研究報告書の作成 平成16年度から3ヵ年の本研究の研究報告書を作成した。
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