研究課題/領域番号 |
16540009
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
星野 光男 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (90181495)
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研究分担者 |
藤田 尚昌 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教授 (60143161)
宮地 淳一 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (50209920)
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キーワード | 導来同値 / 自己入射的多元環 / 傾斜鎖複体 / トーション理論 / 部分的傾斜鎖複体 |
研究概要 |
与えられた体上で同じ数値的不変量を持つブラウアー・ツリーが定める有限次元多元環はすべて互いに導来同値であり、しかもそれらの間の導来同値は項の長さ2の傾斜鎖複体が誘導する導来同値の繰り返しによって実現されることが知られている(この導来同値の分解のことを「奥山メソッド」と呼んでいる)。本研究では、上の奥山メソッドを一般化して、「有限表現型の自己入射的アルティン多元環の間の導来同値は常に項の長さ2の傾斜鎖複体が誘導する導来同値の繰り返しによって実現される」ことを示し、更に「導来同値な有限表現型の自己入射的アルティン多元環は同じ分解型の中山置換を持つ」ことを示した。具体的には、先ず「自己入射的アルティン多元環上の自明でない傾斜鎖複体で自己入射的な準同型環を持つものは、その最高次のホモロジーと最低次のホモロジーとを分離する様なトーション理論を誘導する」ことを示し、次に「有限表現型の自己入射的アルティン多元環の場合には、そのトーション理論が項の長さ2の傾斜鎖複体を定める」ことを示し、最後に「その項の長さ2の傾斜鎖複体がもとの多元環とその準同型環との間に誘導する導来同値の下で、もとの傾斜鎖複体は項の長さが真に短い傾斜鎖複体に移る」ことを示した。これによって、傾斜鎖複体の項の長さに関する帰納法に持ち込むことに成功し、上の2つの結果および「有限表現型の自己入射的アルティン多元環上の部分的傾斜鎖複体で自己入射的な準同型環を持つものは傾斜鎖複体に拡大できる」ことを示した。
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