本研究では数体の分岐を制限した最大p拡大(pは素数)のガロア群に関し、次の二つの知見が得られた。 1.数体の分岐を制限した最大p拡大のガロア群の中心の自明性(筆者の定理)と、結び目の基本群の中心の自明性(村杉の定理)とについて、ある種の群論的類似性を見い出した。またガロア群の中心とLeopoldt予想との関係について、以前に得られた結果を改良する方法がわかった(証明はまだ完結していない)。ガロア群に関する考察に未完成の部分があり、来年度の完成に向け現在研究を継続中である。 2.局所体の最大p拡大のガロア群は自由pro-p群あるいはDemushkin群であり、その構造(生成元と関係式)はよく知られている。いっぽう自由pro-p群は群論的にはNielsen-Schreierの公式(開部分群の最小生成元の個数の公式)で特徴づけられ、またDemushkin群についても類似の結果が知られている。本研究ではNielsen-Schreierの公式を一般化した条件をいくつか設定し、それらをみたすようなpro-p群の性質について考察した。応用として、数体の分岐を制限した最大p拡大のガロア群として現れうるpro-p群については、このような(開部分群の最小生成元の個数に関する)性質に関して興味深い場合となりうるのは自由pro-p群あるいはDemushkin群に限ることを(ある種の条件のもとで)示した。現在論文を準備中である。
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